SSブログ

障害者自立支援法が可決されていた [考えたこと]

 何しろ家族に障害者がいてすら、その事を知ったのが先日のことだ。

 昨年の10月28日、衆議院厚生労働委員会は障害者自立支援法案を強行採択した。テレビや新聞などはこのことを大々的に取り上げたのだろうか。毎日、新聞に目を通していない不勉強さもあるのだろうが、大々的には取り上げられていない気がする。障害者にとっては生活がかかった重要な法律だが、法案提案からわずか4ヶ月で可決された。丁度郵政民営化法案が可決された時期である。

 障害者自立支援法。確かに名前だけを聞くと良さそうな法律だが、人権保護法などと同じで耳当たりが良いだけの穴だらけの悪法である。

 この法律は今年の4月1日から施行される。私も現時点では概要しか勉強していないが、これにより従来は別の法律で扱われていた知的障害者、身体障害者、精神障害者が一つの法律の下、サービス体系が見直される。これに関連して、従来は都道府県が関わっていた福祉サービス主体は全て市区町村に移管される。ここまでは問題はない。

 次に、このこうした障害者が福祉のサービスを受けようと思ったら、介護保険のような認定審査を受け、そこで決められた障害の程度とサービスの必要量から、ケアマネジメントを受け実際のサービス給付が行われるようになる。福祉のサービスとは、例えばホームヘルプであったり、知的障害者の通所作業所であったり、職業訓練、ガイドヘルプ、入所施設等、医療など有形無形にかかわらず全てが含まれる。

 ここに第一の問題点がある。受けられるサービスの量を決める最終的な認定審査は市区町村の認定審査会でおこなわれる。介護保険の例で見ると医師や看護師、医療に関する学識経験者で構成されるだろう。人数は不明であるが、こうした一律の審査会で身体、知的、精神の障害者に対し個別に適切な量のサービスを判定できるとは到底思えない。例えば知的障害者に関して言うと、知的障害者福祉法に於いて知的障害者の定義すら明確に決まっていない状況なのである。いくら医師といえど、全ての分野について精通している人はどれほどの割合だろうか。

 またこれによりサービス量について、ある一定の基準ができあがることになる。基本が、福祉サービスに関する予算を削減することが目的の法律なので、本来必要とされる適切な量の下限を下回って基準ができあがってしまうという懸念がある。

 ざっと目を通しただけでこのような状況である。

 確かに一部の障害者が、福祉のサービスを必要以上に使用しているという実態もないわけではない。とはいえ、多くの障害者がまだまだ不自由を強いられているのも事実である。これまでの福祉は応能負担で、所得や能力に応じてサービスが提供されてきた。しかしこれからは福祉は「買う」ものになる。

 私たちだって明日、交通事故に遭うかもしれないし、家族が病の後遺症で障害者になることだってある。また、何らかのきっかけで精神障害になることだってあり得る。国の理屈も分からない訳ではないが、その前に見直す事案はまだまだたくさんあるように思うのだが。

 この法律については自分も勉強するつもりである。

 この記事を読まれた方で、参考になる書籍やサイトをご存じの方は是非コメントでお知らせいただければありがたい。


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(1) 

nice! 2

コメント 2

masiko

はじめまして。
姉が知的障害者の施設に入所しています。
勉強不足のまま法律が施工されてしまいます。
負担金が増えていく一方です。
by masiko (2006-02-04 15:30) 

katz

>masikoさん
切実な問題ですよね。
こんな重要な法律が、これほど短期間に決まってよいはずがないと思います。
by katz (2006-02-04 22:18) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。